あなたが月を指差せば、愚か者はその指を見ている

日々起きたこと、見たこと、考えたこと

「やる気がある者は去れ(ただしオレ以外)!」by ディディエ・ゲヤゲ…ってか?

ああ、L'Obsの購読、始めたころからもう円安のおかげで日本円にして当初の2倍近くまで跳ね上がってるんです。フランスの新聞雑誌の電子購読は契約はポチッとできますが、解約はポチッとではできません。解約の手紙書いて出さないとダメ。一時はたしか紙で郵送じゃなきゃ受け付けなかったんですけど、コロナ禍を経て、最近は少なくともメールで書けば通用するようです。それでもまだポチッとではできなかったはず。ああ、面倒くさい、あとでやらなきゃと思って1カ月忘れる。また課金される。なお、この解約の方法が書いてあるところを約款から見つけ出すのがえらく大変なので、気をつけましょうね。

問題は私の志があまりに低く、フィギュアスケートについてはTwitterでお気持ちツイートばかり書いたりしていて、そのための出典なんぞろくに確かめず、ましてやその分野でさえフランス語の記事を元が取れるほど読んでいないことなのです。「いわんやマクロンやフィリップの記事をや」なのですが「フランスのフィギュアスケート界?んなもん、腐ってるに決まってる。読むまでもない」という自分のなかでの圧倒的先入観。フィギュアスケート界だからそう思ってしまうのか、フランスだからなのか、ともかく私の心のなかでは自動的にそれら2つに対する無意識の不信感が相乗効果を発揮しているわけです。どうしたら自由・平等・博愛のフランスを愛せるの? おしえてマクロン大統領!

 

ここからが本題です。今日の記事はこちら↓

「不安なんてもうおさらば!」とフランス氷上スポーツ連盟会長グエナエル・ヌーリ氏はおっしゃっているようです。果たしてどういうことなのでしょうか?

 

フランスフィギュアスケート界#MeTooムーブメントとゲヤゲ会長辞任

ロプスはフランスの有力なペアのフィギュアスケート選手だったサラ・アビトボル氏の告発を3年前にスクープした雑誌です。それ以降もフィギュアスケート界、そしてフランス氷上スポーツ連盟(FFSL)の動向は折に触れて採り上げてきた雑誌でもあります。

アビトボルさんが発端となったフィギュアスケート界の性的虐待・暴行告発の動きについては、私が要約するよりも日本語でまとまった記事で出ていますので、フランスフィギュアスケート界の#MeTooムーブメントについて、これからいくつか記事を挙げていきます。今日のお題の背景、前提条件になっている話ですから。

※なお、記事中英語読みの「ベイヤー」と表記されていることがありますが、私が書くときは「ベイエ」、「ガイヤゲ」は(とりあえず)「ゲヤゲ」にしておきます。同じ人を指しているのでご注意ください。

  • まず1つめ:

これ、言ってみればそのアビトボルさんのロプスの記事の要約になっているんですけど、改めて読むとひどい話ですよね。

国内選手権で10度の優勝を誇るアビトボルさんは引退後、当時のスポーツ相だったジャンフランソワ・ラムール(Jean-Francois Lamour)氏にベイヤー氏の行為について伝えたというが、ラムール氏は「われわれは彼の情報を持っているが目を背けるつもりだ」と答えたとされている。同氏はロプスに対し、この会話の記憶はないと話したという。

ちなみにこのラムール氏*1がいわゆるスポーツ担当大臣をやっていたのは2002~07年です。ええとソルトレイクシティ五輪の直後ですかね*2

  • 2つめ(告発から2年経った頃のアビトボルさんのコメント):

www.afpbb.com

欧州選手権のペアで7度メダルを獲得したアビトボルさんは、「この本は私にとって最後のチャンスだった。普通に生きられずにうんざりしていた。目を背けたいから自身の深い問題を自覚せず、人生が過ぎ去ってしまうこともある」と話した。

すごくわかるんだなあ、この気持ち*3

性的暴行に対する認識を高めたことで「ヒロイン」と称賛されたアビトボルさんは、カミングアウトしたことで「罰せられた」と感じることもあるというが、悲惨な経験をさらけ出す自身のアプローチは何も変えないと強調した。

告発した人が(しかも告発されたベイエはいちおう認めているんですよ)「余計なことを言わなければ、ほかのみんなは順調にことを運んでいけたのに」と迷惑がられることってホモソーシャル的な集団にはありがちですよね。罰せられなきゃいけない相手が違うだろうって。

  • 3つめ(そもそもアビトボルさんの告発にはどういうフランスの文化的背景があったかという視点で書かれててよくまとまっている記事ですのでこれイチオシです):

www.elle.com

ちなみにこの記事に出てくるヴァネッサ・スプリンゴラの『Le consentement(合意)』は日本語訳版も出版されています*4

怒りの矛先はそんな状態を放置した連盟にも向いた。1998年から2度にわたり選出され、連盟会長に就任していたディディエ・ゲヤゲは、未成年へのレイプ・性的虐待をこれまで解決することなく野放しにしたと非難された。しかし世間の怒りはどこ吹く風。「見過ごしていたことは過ちではない」と会長の座にしがみつく姿勢を見せた。あまりの往生際の悪さ、いや無神経さにスポーツ大臣は直々に、会長自身への捜査を行うと宣言し、とうとう実質的にクビを言い渡すというゴシップに発展。これを受け彼は2月8日にようやく辞任に至ったが、遅きに失した感は否めない。

連盟会長で居続けたいという「やる気」だけは人一倍でかかった3年前のゲヤゲ元会長辞任にいたる過程をここまで的確にまとめてくださった日本語の文章はないんじゃないでしょうか。

ナタリー・ペシャラ会長時代

さて、ゲヤゲ元会長辞任後、FFSGでは会長選挙が行なわれました。その結果、元フィギュアスケートアイスダンス選手のナタリー・ペシャラ氏が会長に就任したのが2020年3月になります*5。これ選挙といっても実質みんな候補離脱していって残ったのがペシャラさんだけだったという状況。なんだか泣けてきますね。

www.afpbb.com

そもそもフランス氷上スポーツ連盟ってスケートだけを管轄しているわけじゃないんですよ。

こんなに色んな種目を管轄しているのにもかかわらず、その親分が20年ですか?足かけ25年?そのなかの一つの種目でしかないフィギュアスケート界のドンで、やりたい放題で(なのか知らんけど)君臨してたっていうんだから、ちょっと他の競技の関係者はこの状況をどう思っていたのか知りたいし、スポーツ記者はそういう人々に話を聞きに行ってよ、と。で、実質無投票というか信任投票でしかなかったとはいえ、ペシャラさんはこの腐りきったというのか、いや硬直化しているというべきなのか、このFFSGの(ホモソ的文化)改革を期待されていたわけです。

任期の一部はコロナ禍でどうしようもなかったのでしょうが、ペシャラ会長時代の実績をふり返って思い出すのは①北京五輪に行っていたペシャラさんと、②モンペリエ世界選手権での誇らしげなペシャラさんと、③パパシゼ水*6だけになってしまいました。

※パパシゼ水とルルー水とはこちら↓の写真にあるとおりです。

www.nikkansports.com

というのも、ペシャラ会長時代のいわゆるコロナ禍のなかFFSGの懲戒(規律)委員会はモルガン・シプレ疑惑について不問にしているからです。

www.afpbb.com

話がそれるんですけどこの頃、パリ市長選の有力候補者で、かつマクロンの側近だった与党政治家男性も、自分の同様の写真をかつての浮気相手だったか、言いよってた相手だったか、とにかくある女性のスマホにセクスティングしまして、それをその女性の彼氏である亡命ロシア人前衛芸術家がネットに流した結果、立候補取り下げになったという事件がありました*7。けれども「なぜわざわざスマホで写真を送るのか?」と。そんなもの送りつけられて、送りつけられた相手はうれしくなるとホントに思うものなのかとか、こういう発想はちょっとわからない部分はあります*8

www.afpbb.com

ともかく不問にしたのは証拠不十分だからということ。疑わしきは罰せずと*9。こういう発想は、単にペシャラさんの「事なかれ主義」「クラブにも選手にも連盟にも親身になりきれなかった」だけの問題ではなく、フランスは何でも法律を作って定義する国であること…つまり裁判ではないところで人を裁く行為、キャンセルカルチャーってものに反発を抱く人々は上の世代になればなるほど多いからというのもあります*10。まあこの辺の対応、つまり「私はキャンセルカルチャーに全面的には与しない」というペシャラさんの主義は本題のヌーリ新会長のインタビューの質問のなかでも肝になっているのでよく覚えておきましょう。

「誰も何者なのか知らないゲヤゲの操り人形」と言われて登場したヌーリ新会長

さて、昨年2022年6月にヌーリ新会長が登場したとき、もといペシャラさんがFFSG会長選に敗北を喫したとき「誰もこの新会長が何者であるかを知らなかった*11」という話が出てきましたが、先にも書いたとおり、そりゃ管轄している他の競技だってこんなにたくさんあるんだからそれありえるんじゃね?と思わなくもありませんでした。それでも、体よく裏ボスのゲヤゲに使われるんだろうなとマスコミの報道のとおりだと思っていたわけです。

実際、会長に当選したときも、ゲヤゲ氏など周りの言うことをしっかり聞いて務めを果たします、みたいなこと言ってたわけです。で、おそらくゲヤゲとしても、ここまでフィギュアスケート業界に染まってない人を傀儡にすれば自分の思い通りになるってたかをくくってたんじゃないですかね?。

けれども、もう今のウクライナの俳優出身の大統領を見ててもわかると思うけど、そういう門外漢(漢ってことばが適切ではないのは承知のうえです)こそ、最初はただののんびりとしたお人好しに見えていたのに、徐々にやり手の素顔を出してきたり、至極まっとうな感覚の持ち主だったり、正しいと思ったことは譲れない頑固者だったり、やたらと度胸とか決断力とか人望みたいなものがあったりするわけですよ。侮れないというか。

つまりね、ヌーリ会長はいま「スターリン主義的なやり方で委員長6名を切った」などと言われていますが、大げさに言えばこの人「フランス氷上スポーツ界のゼレンスキー」みたいな人なの?っていう話なわけです。さて、ここまでの前置きをふまえてロプス誌の独占インタビューです。もう一度リンクを貼っておきます。

なお、ロプス誌は月10人までプレゼント機能として「メールアドレス宛なら送ることができる」仕様がありますので、中身を確かめたい方は先着10名様でメアドをTwitterのDMなりでくだされば送りますよ(なにこのいかがわしい誘い文句)。

www.nouvelobs.com

ヌーリ氏はロプスの独占取材に何を答えたのか?

世の中には翻訳権というものがあります。私はこの記事の権利を持っていません。案外クーリエ・ジャポンとか買っちゃってる可能性もあるから下手なこともできないのですけど、「適当に訳す」とこんな感じ。読み進むうちになんだか笑っちゃうんだけど、これ事実だったら小説よりも奇なりというか、まあひどい話なんですよ。

Q:なぜ、いきなり連盟の各委員会(commission)の委員長である6名*12を解任したのですか?

A:まず、FFSGでは連盟評議会が定期的に開かれていますし、正規の手続きを踏んで6名は解任されました。私が会長になった2022年の時点で、サラ・アビトボルの告発から2年経っていましたし、私のことを誰も知りませんでしたが、そもそも私自身、ここまでこの組織が壊滅的で腐敗しているとは想像もしていなかったわけです。就任後、連盟での(ゲヤゲ時代の)25年のあのやり方にそっくりそのまま戻りたいと望んでいる人たちが少なからずいることも知りました。FFSGは有害な遺産をいまも抱えています。なかなか解きほぐせない結び目のようなもの。この6名は、この有害なシステムを擁護し、ゲヤゲ元会長が再び連盟の指揮をとることを望んでいると明言しました。そのため、評議会で解任に関する無記名投票にかけられ、圧倒的多数の支持を得て解任されました。

 

Q:けれども、あなたご自身もゲヤゲ元会長と近しかったではないですか? 会長に就任したときも、誰もがあなたをゲヤゲ氏の操り人形だと見ていました。それに、ゲヤゲ氏は連盟からのメールや会議や重要な決定には逐一登場していたという証言もあります。あなたが会長に就任してから4カ月後には、事務局長のパトリス・マルタンが「インナーサークル的」「(現会長はゲヤゲの)クローン」などと糾弾して解任されました。このような状況はもう過去のものなのでしょうか?

A:確かにディディエ・ゲヤゲは私の立候補をサポートしてくれましたし、会長に選ばれてからも私は彼から助言をもらっていました。けれども、元会長はすぐに連盟を自らの手で動かしたいという意志をあからさまにしはじめたのです。とくに、連盟の理事会や評議会の一部の人々も含めた大きなネットワークがゲヤゲ氏を支持していたので、その圧力には押しつぶされそうになりました。私が彼の操り人形にならなければならないというプレッシャーです。少なくともゲヤゲ氏は、私が彼の傀儡になるものだと信じていたようです。大きな間違いですよ。脅迫も恐喝も受けました。(彼らは)レッドライン(一線)を超えたのです。

 

Q:レッドラインとは?

A:圧力、脅迫、恐喝ですよ…

 

Q:具体的にはどのようなこと?

A:たとえばゲヤゲ氏は、私が新参者だから会長の役目を果たせないという口実を使って、国際大会での実質的な決定権を持とうしました。11月には私の同意を得ることなく、連盟からお墨付きをもらったということでトリノに行っています*13。3月には、日本で開催される世界選手権にも行きたいと言い出したわけですが、これは理事会での投票の結果、僅差でどうにか可決されたわけです。でも、ゲヤゲにとっては面白くなかったようで、結局、日本行きは諦めました。

 

Q:最近、連盟本部のあなたの執務室が押し入られたと聞きました。この問題と関係があるのでしょうか?

A:ただ言えることは、3月にアンジェで開催された世界(ジュニア)シンクロフィギュアスケート選手権で私たちが留守にしていた間に、私の執務室の鍵が壊されたことです。連盟本部の鍵を持っていた誰かの仕業でしょう。本部の入り口のドアは壊されてなかったのですから。これについては告訴しました。

 

Q:サラ・アビトボルの名前も、この対立の大きな争点になったようですね。ゲヤゲ氏はブールジュのアイスリンクの名前が彼女にちなんで「サラ・アビトボル・スケートリンクla patinoire Sarah Abitbol」になることについて激怒したと。しかも彼は、アビトボルを暴行した男性に対して連盟が敬意を表明することを望んでいたようですが。

A:ええ、連盟がジル・ベイエ(レイプされたとサラ・アビトボルに告発された元コーチ。2023年1月に死去)に賛辞を送るように、という圧力を受けました。もちろん、そんなの論外ですよ。連盟は原告側*14なんですよ!もし、連盟が言われたとおりにしていたなら、それこそ自殺行為だったと思います。ベイエが告発された行動を、私たちはまったく容認していません。

 

Q:サラ・アビトボルは告発して以来、明らかに連盟から遠ざけられました。スケート界では、彼女が暴露したことによってこの「スポーツに汚名を着せた」という声をいまでも耳にします。これについては、どのように思いますか?

A:当然、私はそのような意見にはまったく賛同できません。ようやくサラ・アビトボルは連盟の正会員になることが認められました。ここで正式に発表したいのですが、アビトボル氏はこのたび、連盟の倫理委員会(le comité éthique)の一員になることを引き受けてくれたのです。私たちは喜んでいますし、誇りに思っています。

※これについてはFFSGがインスタグラムで投稿してて、私自身これを見たとき「この連盟会長なかなかやるな」と思いました。なお、6人の委員解任騒動についてはまだ知りませんでした。

 
 
 
 
 
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Q:前任者のナタリー・ペシャラ氏は過去を「一掃する」ことはしたくないと言いました。あなたはいかがですか?

A:私は2020年にペシャラ氏に投票しました。たしかに彼女は基本的なことを実行に移しましたが、まだまだじゅうぶんではありませんでした。私たちは、過去とは決別し、この連盟に健全さを取り戻したいのです。私たちは過去を一掃する必要があります。

 

Q:昨年11月、スポーツ担当省はこうした性暴力問題だけでなく、まさにディディエ・ゲヤゲのあまりにも大きな影響力について連盟が実際に改善努力をしているのか評価するために行政調査を開始しました。その報告書は6月初旬にスポーツ担当大臣に提出される前に連盟に送られる予定だとの噂ですが、すでに受けとっているのですか?

A:メディアに書かれていることとはまったく違って、まだ受けとっていません。けれども早くそのレポートを読みたいです。というのも、連盟全体に対するこうした調査は、私にとって安心材料になるからです。連盟の中心にいる私が一人でこのような作業、つまり全方向への監査を実行するのはとうてい無理だったと思います。

 

Q:たとえば今回の解任などあなたが最近とった方法は、この報告書に対する回答である、さらに言えば連盟に対するスポーツ大臣の圧力に対する回答だと考えている人もいるようですが?

A:いいえ、まったく関係ありません。スポーツ担当省への服従の印などではありませんよ。私たちは(スポーツ担当省)ときわめて適切な関係を保っています。

 

Q:会長に当選して以来、あなたはメディアには一切話をしないと評判になっていました。今回、なぜロプスのインタビューに応じてくださったのですか?

A:当選するとすぐさま私はメディアから叩かれ、勝手にゲヤゲの「操り人形」というレッテルを貼られ、とんでもない化け物扱いをされたわけです。ここで発言してしまうと、その状態に拍車をかけてしまうだろうと私には思えました。何を言おうとも、すべての反応があらかじめ決まっているような印象を受けていました。自分の言い分をきちんと表現できるまで時間が必要だったのです。ほんの少しでいいから容赦してほしかった。この息も詰まるような有害な環境の中で、私は一歩ずつ慎重に物事を進めていくしかなかったのです。

 

Q:いまやあなたはきわめて弱体化した連盟のトップとして孤立していると言われています。6月に次の総会がありますが、ご自分の立場が危うくなるのではないかという心配はありますか?

A:いいえ、ぜんぜんそんなことはありません。私は孤立していませんよ!それどころか、この連盟ではこれまでなかったことですが、結束力のあるチームと新しい全国技術部長とともに集団で仕事をしています。私たちは同じ価値観で結ばれているのです。それはもうやる気満々です。私たちはいまフランス全国のクラブを回っています。彼らの期待に応えるために、そして次のオリンピックまでの期間、ともに歴史を刻んでいくために現場に赴いているのです。私たちは新参者だと、そしてノウハウにも乏しいと非難されていますが、まさにそれこそが私たちの強みです。より自由に行動でき、隠さねばならないような後ろ暗い過去はなく、誰の意のままにもならないからです。私の武器は、アスリートたちを守るために、誠実であること、透明性を保つこと、そしてこの連盟をできるだけクリーンな形で前進させたいという意志です。「守る」という言葉は、これまでの私たちの歴史をふり返ると、キーワードになります。かつて、ここには不安がありました。ある時期には「恐怖」とさえいってもいいものが存在していました。けれども不安にはもうおさらばするのです。

言い分はわかった。でも、この先も続けられるんですか?

ヌーリ氏の言い分がどこまで正確で実態をあらわしてるのかは私にはわからないけど、あのなかなか簡単に懐柔されなさそうなスルヤ・ボナリーさんまで反性暴力キャンペーンのアンバサダーになって、このようなメッセージをFFSGに送ってきたらしい。ゲヤゲと合わなかった人だからね。

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これで6月のFFSGの総会でヌーリ氏が解任されて、ジュベールさんあたりが擁立されたらそれもなんだかな案件のようですけど、フランスにはそもそもカーリングとかアイスホッケーとか人材いないんですかね?

 

これで力尽きました。私がすべてを出し切るとろくなものが仕上がらない。次回は10%ぐらいで行きます。

*1:彼自身アスリート出身。フェンシングの選手でした。繰り返しますがフェンシングです

*2:その頃にWADAの副会長もやってたりするんですが、過去に自転車競技の大会のドーピング疑惑を故意に見逃してたかも疑惑などもあってWADAの会長選には出るのやめたとか色々ありまして…要するにややこしくてくさい物には蓋をしておけタイプなのかな。フランスはほんと兼職が多い。つい5年ぐらい前までは地方議員・市長と国会議員兼務できましたし。税金の二重取りひどすぎないか?ということもあってそれはなくなりましたが、そもそも政治家人口に対する役職が多すぎるんじゃね?という気もしなくはないです。

*3:だって性的虐待とか人工妊娠中絶の経験談とか隠れて生んだ子どもを死なせてしまったとかそういう記事ってそういう目に遭ったこと、遭いそうになったことがある人ほど、逆に進んで読めなかったりしませんか?あと、最近だとこれに「ずっと話せずにいたことに対する罪悪感(話せずにいたから自分のような被害者を増やしてしまった)」というものが加わるわけですよ。

*4:フランスのマスコミ・出版業界も腐ってるといえば腐ってますよね。スプリンゴラの著書の後にはカミーユ・クシュネルというフランスで著名な言論人家庭に育った女性が自分の兄弟が義父によって家庭内性虐待を受けていたという手記も出しています。

*5:マクロン大統領が「私たちは戦時下にあります Nous sommes en guerreなどと、今にして思うとなに寝ぼけて誇張したこと言ってるんだ的な呼びかけをしてフランス全土をロックダウンに踏み切った数日後なんですね。

*6:モンペリエ世界選手権でのパパシゼ水はプラスチック容器ではない容器に入っているミネラルウォーターを提供する初のスポーツ世界大会でした。なお、モンペリエの地元のスタートアップ企業の製品でもあったので試みとしてはよかったと思います。個人的には、パパシゼ水のパッケージを、眠気覚ましでもしているつもりだったのかプレカン中に手に取ってまじまじと観察しはじめた鍵山優真が忘れられません。「眠くなってくるならスマホチェックしてたっていいよ」と思った私は鍵山優真には甘いのです。モンペリエワールドのグラディエーターは瀕死でも力を振り絞って最後まで戦う、剣闘士のなかの剣闘士だったよ。あれは完璧じゃなかったのが完璧だったんだよ…話が大幅に逸れ始めましたが、パパシゼ水と、かわうそのルルー水は翌シーズンのグランプリシリーズ・アンジェ大会でも提供されたとかなんとか。

*7:この一文、真面目に書いているだけで笑っちゃうんですけど、この写真を暴露した行為については極右から急進左派までみなそろって「こんなプライベートなものをネットに流すなんて許しがたい行為である」と見事に意見が一致しました。でもね、フランスでは(日本は知らん、むしろその逆かもわからん)男性器の写真流出ならすぐさまかばってくれるけど、じゃあ女性に対するリベンジポルノにおいてそこまで意見一致したことある?って個人的には問いただしたかったです。

*8:とはいえ、コロナ禍のロックダウンのときも、恋人に会えなくてどうすればよいのかという相談にたしか仏メディアはセクスティングという手もあると真面目に答えていた記憶もあるので、もう私はフランスでのこの手の話には匙を投げています。別に住民でもないし。

*9:あと外国で起きたことなんだから仏連盟がどうこうできないという理屈もどこかで読んだように記憶していますが、そのネタ元見つけられないからこの部分は話半分に読んでいてください。あと、エイモズさんも指導しているシプレのコーチが平昌五輪どころじゃなくなるので口止めしたっていうのはやっぱりまずいんではないかと。米国側は捜査どうなったんでしょうか?

*10:しかもペシャラさんが会長になる直前のセザール賞授賞式では、ポランスキーの『私は弾劾する』が色んな部門で受賞したうえに、監督賞までとったものだから、これも是か非かで大紛糾したんです。結局その映画は日本では昨年しれっと英語風のタイトル「オフィサー・アンド・スパイ」として公開されましたが、その主演俳優はペシャラさんの連れ合いのジャン・デュジャルダン。だからキャンセルカルチャー的なものには、もしかしたら個人的にも家庭的にも反対な立場なのかもしれません。なお、ポランスキーがどういう人かってわりと有名だと思うので、知らない人はもうきりがないからググってね

*11:肩書きとしてはブルターニュ地方のモルビアン県の某スポーツクラブの会長。教養が足りてない私はそもそもモルビアン県ってどこですかい?と話はそこからでしたが、かつてヨットの輸入代理店に勤めていた私は「新聞記者は最初からロリアンのスケートクラブの元会長って書いてくれよ」と画面に向かってぼやいてしまいました。

*12:このなかにはみなさん大好きブライアン・ジュベールさんも含まれています。彼はフィギュアスケート部門の全国スポーツ委員会(La CSN Patinage Artistique)の委員長、つまりフィギュアスケート部門のトップのような役職だったのでしょう。ではジュベさんがフィギュアスケート部門の委員長としてお仕事をしていたという全国スポーツ委員会(La CSN Patinage Artistique)とはなんぞやと読むと、日本でいう強化部みたいなもんじゃないの?とも思うのですが、FFSGの組織部の説明を参照するかぎり色んな委員会(comitéもcommissionも全部「委員会」って訳を私は当てちゃってますが)があって役割重複してそうなものもありますし、整理されてない感がするのでとりあえずフィギュアスケート部長ぐらいのつもりで認識していればよいかと思われます。

*13:トリノのGPFのことを言っているのならば12月のような気もしますが、一応原文ママにしておきます。なお元会長はこの頃、ヌーリ会長を隠れ蓑にして連盟を牛耳ろうとしていたとはいえど、FFSGの会長どころか理事や委員でもなかったわけ。なお、自分の手が回らないことは「子分」のジュベさんにさせようと考えていたという元事務局長のコメントもあります。なんでも他の記事によるとゲヤゲはジュベさんのポワティエのスケートクラブの金庫番をやっていて、いわば後ろ盾らしい。ともかくこのヌーリ会長の言い分の注目点は、ゲヤゲはFFSGの金でトリノに行ったってこと。こういうところがいかにもせこいフランス人。他人の金でお出かけしたがるの

*14:日本とフランスは司法制度が違うので、日本風にここは当てはめて訳しています。つまり連盟はアビトボルさん側に立ってベイエを訴えた立場だった模様